小論文 ― 日本大学
年度 |
内容 |
字数 |
時間 |
09 |
『藤村随筆集』からの引用を読み、文中の英語の要約を記述した上で、最後の文「それを思うと残酷な気がする」とはどのようなことかを論述する。 |
800字 |
60分 |
08 |
吉田兼好の『徒然草』からの引用を読み、兼好の考える心の中の「主」とはどのようなものだと思うか、論述する。 |
800字 |
60分 |
07 |
稲津紀三訳『タゴールと日本』からの引用を読み、「平静さと忍耐と制御ができる」と指摘された一昔前の日本人の気質は、いったいどこからきていると思うか、自分の思う理由を論述する。 |
800字 |
60分 |
■傾向
過去3年間、具体的な事例を抽象化し概念で把握しその本質を理解する力と、その本質的な問題を、具体的な事例を用意して説明する力が試されている。'07は、観察できる現象の背後にある本質的な要因を考えさせている。当時の日本人にとって「平静さと忍耐と制御ができる」ことは、社会の秩序を保つ上で守るべきモラルと認識されていたということ。この倫理観は小さな島国でありながら、定住、農耕社会を形成し、連帯を基調とする生活態度を生きる上で必要としたことに由来するという視点も持てるだろう。'08は兼好の「心」についての考えが問われている。「鏡」に喩えられる「心」とは、今、我々が「感性」とよぶ西洋の概念であると思われる。これは物事を受け止め感じ取る能力であり、まさに様々のものを感じ受け止め、そこに映し出す。心に感じる物事の印象、「もののあはれの世界」を作り出すものだ。それに対して兼好が自らの心の中に確立しようとした「主たるもの」とは、我々の精神のもう一つの側面である「理性」だろう。西洋哲学における「理性」とは、一人一人感じ受け止める世界が違ってしまう「感性」=「個人的主観」を切り離した、物事に働きかけ、それを操作していく能力であり、「感性」を切り離す、もしくは感性と無関係であるが故に、心の「主」である理性により事象の真の姿、「ものの道理」に近づけると考えたのではないだろうか。'09は、英文と「相生」との関係を文脈の中でどう押さえられるかがポイント。人と人との間では、「相生」は容易ではなく、一切を捧げて惜しまないほどの情熱をもつ人は、時として周囲からの理解を得られず孤立し、悲哀と不安の中にあって、その実現に困難が伴う、ゆえに英文「この世の中で最も強い男とは、孤立して独りで立つ者のことである」という文脈だろう。自己の信念、情熱に生きる者は、「それを根から覆さずにはおかないような破壊と~不安」の中に孤立する、「それを思うと残酷な気がする」のである。